どこかで見たような光景だ・・・最大級の「兵馬俑展」開幕
中国に優れた古美術はあまり残っていない。なぜなら国共内戦の時に多くが台湾に持ち出されたから・・・。ときどきそんな話を聞く。専門家によると、間違っているという。なぜなら戦後、中国で発掘された文物は台湾にないから。
その「戦後発掘された優品」の代表格が、兵馬俑だ。1974年、中国・西安北東約30キロにある始皇帝陵園の近くで、地元農民によって偶然発見された。
俑とは人形 (ひとがた) の意で、古代中国では死者に有縁の人や動物の俑がつくられ埋葬されることがあった。始皇帝の兵馬俑はスケールがケタはずれ。これまでに広さ約2万平方メートルの坑から、約8000体の陶製の人俑が見つかっている。等身大か、もしくはやや大きい。人々の表情や服装は驚嘆の造形能力で極めてリアルに描かれており、まるで2000年以上昔の秦の時代にそのままタイムスリップしたかのようだ。
東京国立博物館で2015年10月27日にオープンした「始皇帝と大兵馬俑展」は、日本で開かれる過去最大級の兵馬俑展だ。10体の実物と約70体の精巧な複製が展示されている。整然と並ぶ兵馬俑の「騎馬」「将軍」「歩兵」「軍吏」たち。その姿は今年9月3日の抗日記念日の、史上最大級の軍事パレードの光景とも、どこか重なる。中国という国の、文化と伝統、途方もなく長い歴史について改めて考えさせられる展覧会だ。
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