「炭火を楽しむ」はいいけど、一酸化炭素にご用心!

寒くなると、鍋が恋しくなる。そんなとき、気を付けないといけないことは? 東京消防庁によると、一酸化炭素中毒だ。2010(平成22)年から14(同26)年までの5年間で、住宅での一酸化炭素中毒は都内で59件発生、96人が救急搬送された。半数は12月~1月の2か月で起きている。冬の事故の「定番」といえる。
○自宅リビングで家族5人がバーベキューコンロを使い炭火で焼き肉をしていたところ、数分後に1人が倒れたため救急要請。傷者2人。
○共同住宅の茶道用和室内で、木炭で釜の水を沸かして女性6人でお茶会をしていたところ、室内の喚気が不十分であったため、女性2人が気分が悪くなった。
○室内で暖房用として練炭を使用中、椅子に座ったまま寝てしまい、一酸化炭素中毒となる。重症。
などの事故例が報告されている。
一酸化炭素は、無色・無臭で発生に気が付きにくい、人体に有毒な気体だ。一定の高濃度に達すると、死に至る危険性があることから、十分な注意が必要だ。事故例でも分かるように「炭火」が原因となるケースが多い。木炭が燃焼する過程では一酸化炭素(CO)が発生する。酸素が少なくなるとその量が増える。昔と違って、今の住宅は気密性が高い。すきま風が入り込まない家の中は一酸化炭素中毒のリスクが高まるのだ。ガスなどと違って安全装置もないから、中毒に気づきにくい。
消防技術安全所による実験結果が報告されている。それによると、密閉された約6畳の広さの居室内で七輪を使用した際の一酸化炭素濃度は、居室の温度分布と同様に天井付近から上昇し、使用開始後約50分で「人体がこの状況下に3~4 時間居た場合に意識障害が起こる値」である700ppmに達した。非常に短時間で危険な状態になることがわかる。
事故防止のポイントは十分な換気を行うこと。これに尽きる。火気設備や火気器具を使用中に少しでも異常を感じたら、使用を中止するとともに十分な換気をしよう。
ネットを見ると、「炭火焼のお店でアルバイトをはじめたのですが、 一酸化炭素中毒で何度も倒れてしまいました」「僕は炭火焼き鳥屋でバイトをしていて焼鳥を焼いているのですが昨日、一酸化炭素中毒のような症状が出ました」などの相談が載っている。店に対し、一酸化炭素警報器を設置するなどの予防策を呼びかけている消防署もある。「炭火」を楽しむのなら、少しすきま風が入るくらいの店の方が安心できるかもしれない。

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