2015年度のグッドデザイン 「大賞」に選ばれたのはコレ

意外な商品がデザイン界の最高の賞を獲得した。「2015年度グッドデザイン大賞」(11月発表)を受賞したのは「パーソナルモビリティ[WHILL Model A]」。誰もが乗りたくなる「次世代型電動車いす」だ。車いすユーザーも、そうでない人も乗ることができる、あるいは乗ってみたいと思える、まったく新しいカテゴリーの「パーソナルモビリティ」(個人用の移動機器)だ。
「グッドデザイン賞」は公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」だ。母体となったのは、1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」。受賞数は毎年約1200件、58年間で約4万2000件。グッドデザイン賞を受賞したデザインには「Gマーク」をつけることが認められる。たいへん権威のある賞だ。
応募作品は、家電やクルマなどの工業製品から、住宅や建築物、各種のサービスやソフトウェア、パブリックリレーション、地域づくりなどのコミュニケーション、ビジネスモデルや研究開発に至るまで幅広い。単に視覚的なデザインの美しさにとどまらず、裏側に潜む思想、意義など様々な面を考慮し、総合的に判断をもとに選ばれる。
今回、3000件以上の審査対象から「WHILL Model A」が大賞になった理由について、審査委員は、「デザインで社会の課題を解決しようというクリエイターの志の高さがある。小さいチームが独自の技術で量産に成功したストーリーが製品に込められ、ひと目で思わず人を共感させる」などと説明。デザイン性だけでなく使い手の操作性も十二分に考慮され、「パーソナルモビリティ」という新しい製品カテゴリーの創出に成功した、と高く評価した。
製作したのは、WHILL株式会社(本社・横浜市)。実は2012年にできたばかりの若い会社だ。日産、ソニー、オリンパスなどにいたエンジニアやデザイナーなどの気鋭の社員が集まり、チャレンジ精神にあふれている。
「WHILL Model A」は近未来的・斬新なユニバーサルデザインに加え、半径70cmの小回りや最大段差7.5センチを越えることができる四輪駆動の走行性能、iPhoneアプリで遠隔操作もできる利便性などが特徴だ。大賞を受賞したことで、半世紀以上も基本形が変わらなかった「車いす」の概念を打ち破る「新しい乗り物」として注目を集めそうだ。価格は99万5000円。

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