立花隆さんが怒っている! 文学部は不要なの?
「文学部」に注目が集まっている。文藝春秋の文芸雑誌「文學界」12月号(2015年11月7日発売)が、文部科学省が6月に通知した、国立大学の人文社会系の縮小方針に反対し、「『文学部不要論』を論破する」を特集したのだ。
4人の有識者のインタビューや寄稿など計38ページの大特集。中でも「文科省が日本人をバカにする」というタイトルで強い声を上げたのが、「知の巨人」として知られるジャーナリスト・作家の立花隆さん(東大文学部卒)だ。ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんのスーパーカミオカンデの実験を例に出して、人間の文化的活動を社会的有用性で計ることはできない、最も優れた文化活動の多くは社会的有用性がゼロだ、とし、「目の前の実用性にもっぱら目を奪われ続けていると、日本はいずれ滅びます」と強く警鐘を鳴らした。
この特集のことがネットニュースで流れると、一週間で2000近い「いいね」が付くなど読者の関心は高い。寄せられたコメントでは全体として「立花見解」への賛同の声が多い。
日本文化を幅広く研究する役目がある文学部を不要というのは「日本を捨てろ、日本人を止めろということ」「草葉の陰で河合隼雄・元文化庁長官が泣いている」という指摘も。一方で、「それにしても文学部は多すぎないか」「日本の大学は役立たず」という意見も出るなど、昨今の大学や改革のあり方などについて様々な感想が寄せられている。
「文學界」は芥川賞の登竜門として知られ、ふだんの号では主に小説が掲載されている。最近では、芥川賞を受賞した又吉直樹さんの『火花』を最初に掲載したことで知られている。
ちなみに東大や京大の文学部では哲学、思想、美学、歴史、考古、心理、社会学など非常に幅広い領域を扱っており、狭い意味での「文学」はそのうちのごく一部にすぎない。
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