2015年の日本経済は好調だったのか、それとも・・・
アベノミクスがスタートして約3年。このところ急激な原油安、円高、マイナス金利など予想外のことが続いている。
ところで2015年の日本経済は好調だったのか、それとも・・・。2016年2月に発表された経済指標をみると、データが相反している。
好調ぶりを裏付けているのは、財務省が発表した2015年の国際収支速報。経常収支の黒字額は、前年比約6倍強の16兆6413億円。大幅に増えた。黒字額の増加は10年以来5年ぶりだ。原油安などで輸入が8兆6826億円も減ったことが大きい。
部門別で黒字額が目立つのは、海外からの配当・利子収入などを示す第1次所得収支。20兆7767億円と、前年から2兆円以上増加し、3年連続で過去最大を更新した。
訪日外国人数が過去最多になったことで、旅行収支も1兆1217億円の黒字に。旅行収支の黒字は53年ぶり。中国人観光客を中心とした「爆買い効果」がもろに出た。
こうしたマクロの日本経済の好調ぶりに疑問符をつけるデータもある。厚生労働省が発表した2015年の毎月勤労統計調査(速報)だ。それによると、実質賃金指数は0.9%減と、4年連続の減少となった。
基本給と残業代やボーナスなどを合計した「現金給与総額」(1人当たり、月平均)は前年比0.1%増の31万3856円。春闘での賃上げで基本給が増加し、総額を押し上げたことから2年連続で増えた。基本給を指す「所定内給与」も10年ぶりに増加に転じた。ところが消費者物価指数が前年比1.0%の増加なので、実質賃金はマイナスとなった。
原油安の急激な進行と円高への振れで、年明けの日経平均は苦闘している。企業業績も年度後半は足踏みしているようだ。今春闘でどれくらいの数字が出てくるか、改めて注目が集まっている。
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